コラム第2弾 北海道から世界へ 〜市民メディアの可能性〜
投稿者: 08summit.h 掲載日: 2008-6-12 (4888 回閲覧)

■プロフィール
名前:加藤知美さん
所属:NPO法人さっぽろ村コミュニティ工房理事、
NPO法人北海道NPOサポートセンター理事、
NPOバンク事業組合理事
趣味:食べることは生きること。昨年から野菜作りを楽しみ始めた
経歴:国内初の地域FM「FMいるか(函館)※1」に開局スタッフとして参加。20
00年有珠山噴火に伴う避難住民支援で緊急災害FM「FMレイクトピア」立ち上
げ運営支援に携わる。2002年「まちづくりとコミュニティの再生」を理念とするN
POを有志らと設立。2003年NPO主体の市民型地域FMを目指し株式会社さ
っぽろ村ラジオ設立。2005年7月まで代表取締役を務める。2007年9月に開
催された「第5回市民メディア全国交流集会@北海道07」の実行委員長に就任。
白幡 「加藤さんよろしくお願いいたします。」
加藤 「こちらこそよろしくお願いいたします。」
白幡 「それでは、まずはじめに加藤さんの活動の経緯について教えてください。」
加藤 「横浜に生まれ、関西の大学に進学しました。その後就職しましたが、3年後
に退職。1992年に函館に移住して、そこでFMいるかのアルバイトとして活動をは
じめました。マスメディアではなく、普通の市民が情報発信していくことが「おもしろ
い!」と思い、市民メディアがこれからの新しい形だと感じました。
FMいるかでは、ディレクターとして活動し、その後札幌に移住。2003年4月1日に
さっぽろ村ラジオを開設。当時はNPO法人が経営するラジオ局はなかったために、
別に株式会社を設立して、NPOの理事と株式会社の代表取締役を務めました。
2005年に株式会社の代表取締役を辞めて、現在は、NPOで市民メディアの活動
を模索中ですね。
白幡 「G8サミットを意識し始めたのは、どうしてですか?」
2006年に横浜で開催された市民メディアサミットという、全国の市民メディアで活
動する人の交流の場に参加しました。横浜では、ラジオ(コミュニティ放送)以外に
も、ケーブルテレビを活用したりインターネットを駆使した市民メディア活動の団体
がたくさんあって、北海道はまだまだだなぁ、という率直な感想をそのとき持ちまし
た。その中で、「翌年の市民メディアサミットを北海道で開催してはどうか」という話
が出てきました。
その理由としては、日本で最初のコミュニティ放送局(函館・FMいるか)ができた
土地という点と、全国から注目を集めていたFMピパウシという、アイヌというマイ
ノリティが自ら情報を発信している、二風谷の小さなラジオ局に全国が注目して
いたからです。後日、北海道での市民メディアサミットの開催が正式に決まり、2
007年9月に、札幌で開催した市民メディアサミットの実行委員長を務めました。
その中の分科会では、「洞爺湖サミットで市民メディアは何ができる」ということを
討論し、サミットにおける市民メディアセンターの必要性を実感しました。」
白幡 「具体的に市民メディアとは、どのようなものですか?」
加藤 「マスメディアが伝えきることができない細かな情報や、様々な理由で伝え
ていない情報を、市民自身がオリジナルな視点で取材して伝えることです。本当に
これでよいの?という地域の問題やユニークなアイディアがとりあげられたり、少
数者・弱者が自ら発信したりもするので、地域がどうしたら元気になるかを考える
ヒントが見つかります。」

白幡 「なるほど。確かにマスメディアでは細かな情報を伝
えるのが難しそうですが市民メディアでは可能ということで
ね。では、実際にG8サミットではどのようなことをするので
すか?」
加藤 「いまや、サミットやWTO※2などの国際会議の際に、NGOの政策提言や
デモを伝えるときに、マスメディアが伝えないことを市民メディアが伝えています。
市民メディアが伝えることで、世界の関心が高まっています。市民メディアの拠点
である、市民メディアセンターで市民が情報を発信しています。G8サミット開催中
に、世界のNGOの人たちが来て、テーマごとにフォーラムを開催する、オルタナ
ティブサミットが札幌で開催されます。世界のNGOの人が集まる札幌に、市民メ
ディアセンターを設立する予定です。」
白幡「市民メディアセンターは、どのような施設ですか?」
加藤「ラジオの放送局、収録スタジオ、取材のための電話、会議室、パソコン、
インターネット回線、インタビュールームなどの施設を考えています。場所は未
定で、公共施設の空き部屋を借りるか、民間の場所を借りようと考えています。」
白幡 「市民メディアセンターを推進しているメンバーは他にもいますか?」
加藤 「2007年9月に開催した市民メディアサミットの分科会にて、市民メディア
センターを作ろうとメンバーが集まっています。AMARC JAPANの松浦さん、自由
学校「遊」の滝口さん、ATTICの阿部さんらとすすめています。」
白幡 「札幌だけではなく、全国の方が協力して推進しているんですね。それでは、
最後にサミットへの意気込みをお願いします。」
加藤 「世界中の各国の市民メディアの人たちにたくさん来てもらって、どんどん北
海道のこと、札幌のことを世界中に伝えて欲しいと思います」
白幡 「加藤さんありがとうございました。」
【インタビューアーの感想】
白幡 「マスメディアでは伝えきれないことを、市民自身が世界に情報発信すること
の重要性を感じました。市民が情報発信することによってまちづくりにつながること
は、情報化社会における市民の情報発信のあり方だと実感しました。マスメディアが
伝えきれない情報で、市民が発信する大切な情報をこれからキャッチしていきたい
と思います。」
井下「市民の立場から情報を発信することはとても重要なんだなと思いました。私
は今までマスメディアの情報しか気にしていなかったけど、これからは市民メディ
アの情報もチェックしたいなと思いました。洞爺湖サミットでの市民メディアの活躍
に期待しています。」
※1 FMいるか
平成4年に全国で始めて開局したコミュニティFM局。コミュニティFM局の詳細に
ついては、下記北海道総合通信局のホームページを参照ください
http://www.hokkaido-bt.go.jp/F/f01.htm
※2 WTO
世界貿易機関(World Trade Organization)の略で、自由貿易促進を主な目
的に作られた国際機関
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